日本銀行は、日本の金融システムを安定化することを目的とした業務を行っています。
日本銀行は民間の銀行との関係を強化し、経済の安定性を維持するために、銀行間の決済システムを管理します。
日銀と銀行との関係性には、以下のようなものがあります。
●日銀特融
日銀特融は、一般的に行われる金融の調節を目的とする貸出の「日銀貸出」とは違います。
日銀特融とは、ある金融機関が破綻する恐れがあるとき、その影響が日本の金融システム全体に波及し、安定性が崩れる可能性があると認めた場合、日本銀行がその金融機関に対して特別に実施する無担保の融資のことです。
日銀特融の過去の例としては、1965年の山一証券の経営破たん、1997年の北海道拓殖銀行・山一証券の破たんなどがあります。
●日銀ネット
日銀ネットとは、日本銀行と民間の金融機関の間の決済を、オンライン処理するためのシステムのことで、正式には「日本銀行金融ネットワークシステム」といいます。
銀行間の決済は、それぞれの銀行が日銀に開設している当座預金口座を利用した振替により行われます。
過去には「時点ネット決済」が採用されており、各銀行間のやりとりの差額分を一定時刻にまとめて決済されていましたが、未決済残高が未処理のままであると、決済不履行が発生する可能性があります。
したがって、現在の決済方法は「即時グロス決済」といって、一件ごとに決済が随時行われています。
●日銀考査
日銀考査とは、日本銀行が金融機関に直接実施する調査・助言・改善指導のことをいいます。
日銀考査は、金融庁の検査と違い、法律上の強制力はありません。
日銀考査は、金融機関の経営に対する健全性の維持や、金融政策が及ぼす影響を測ることを目的としています。
●オフサイト・モニタリング
オフサイト・モニタリングとは、取引先の金融機関からの資料による情報収集のことです。
金融機関の債権債務関係が複雑になり、ある金融機関が破綻することにより、金融機関全体に連鎖を起こす可能性も大きくなっています。
このようなシステミックリスクを回避するための調査や情報収集は、決済システムの安定性にとって欠かせないものとなっています。
