バブル崩壊以降、日本における銀行の経営体質の改善が求められています。
現在の低収益体質からの脱却を目的とする銀行再生方法について、考察していきます。
●低収益体質の改善
日本の銀行は海外の銀行と比較し、収益率が低いといわれています。
理由は、低金利による預貸金業務の「利ざや」が低いためです。
構造的な問題としては、日本企業の期待成長率が低いこと、または、供給過剰(オーバーバンキング)により企業の信用リスクに応じた貸出金利が設定できないことなどが挙げられます。
今後は金融の規制緩和により、手数料収入の拡大や資産収益率を改善することを目的に、経営計画を立てて行くことが重要です。
●信用リスク管理
貸出業務に伴う貸倒れのリスクを「信用リスク」といいます。
貸し倒れの危険性を把握し、信用リスクを管理することにより、経営を安定させ、収益性を高めることが必要です。
現在は「内部格付け」といって、融資先の信用度合に応じた格付けを、各金融機関が行うようになりました。
格付けに応じた融資金額や貸出金利を設定することにより、リスクを管理することが可能となります。
●ALM
ALMとは、Assets(資産)・Liabilities(負債)を総合的にManagement(管理)するということです。
金利や為替レートの変化に伴う、資産や負債の増減を監視したり、管理していくことが重要です。
●債権の流動化
銀行が債権をバランスシートから切り離し、一般投資家に売却することを「債権の流動化」と言います。
債権を会計上から分離することにより、貸し倒れによる収益率の低下を免れることができます。
債権を売却する場合は、債権を担保とする証券が発行されます。
証券はABS(住宅ローン以外)とMBS(住宅ローン)の、大きく2種類に分類することができます。
●SPC・ABS
SPCとは「特別目的会社」といって、金融機関や不動産会社が、不動産や債券から発生する収益を裏付けに証券を発行する際に、設立される子会社のことです。
この場合の証券を「ABS(アセットバック証券)」といいます。
債権による収益を本社から分離することにより、子会社が不良債権により経営が悪化したとしても、本社の収益率には影響がなくなります。
この手法は、「オリジネーターの倒産隔離」とも言われています。
