不良債権問題とは、何が問題だったのでしょうか?
不良債権とは、銀行などの金融機関が保有している債権のなかで、貸し出し先の諸事情により、約定通り返済が行われていないものを指します。
景気の減退などが理由で、貸し出した債券が返済不能となったり、金利の支払いが滞るなどで、未返済のものが「不良債権」となります。
1992年以降のバブル崩壊により、バブル期に貸し出していた債権の返済が滞り、銀行は多額の不良債権を抱えて資金難に陥り、破たんした銀行も現れました。
銀行は不良債権処理に多額の資金を投入しましたが、不景気が長期に及んだため、銀行の資金だけでは不良債権を処理できなくなりました。
日本の銀行に活力を取り戻し、景気の回復を目的に、政府が2002年に「金融再生プログラム」を発動し、大手の銀行に対して不良債権を早急に処理するように求めたことから、不良債権問題は解消に進み始めました。
銀行の主要な経営圧迫要因であった不良債権問題は、大手の銀行においてはほぼ解消したといえます。
銀行が不良債権を解消する方法には、以下のようなものがあります。
●間接償却と最終処理
銀行は、融資先の経営が悪化し不良債権になると、企業の倒産に備えて会計上に「貸倒引当金」を計上します。
倒産した場合は、未回収分の金額を「貸倒引当金」で穴埋めします。
この方法を、「間接償却」といいます。
しかし、会計上では不良債権はまだ残っているため、事態が改善しない場合は、次に「最終処理」を行います。
最終処理とは、銀行の貸借対照表から不良債権を完全に切り離すことです。
最終処理には、以下の3つの方法があります。
◇売却
不良債権の売却のこと。
◇法的整理
融資先企業に対し、会社更生法・民事再生法を適用すること。
◇債権放棄(私的整理)
借金の一部を放棄すること。
●債務の株式化
企業へ貸し出している債権を放棄する代わりに、その企業の株式をもらい受けること。
日本よりも欧米において、利用されている処理方法です。
企業側は債務免除されることにより経営に集中することができます。
銀行側も企業業績が良くなれば株価も上がり、株主の権利を利用して、経営再建のために企業に対して意見を申し出ることもできます。
