住宅を購入時に、「提携ローン」を紹介されることがあります。
「提携ローン」でなくても契約前に行われる重要事項説明の時、「銀行融資の斡旋(あっせん)料」として、手数料をいくらか支払うことがあります。
「提携ローン」や「銀行融資の斡旋料」とは、何をさすのでしょうか?
提携ローンとは、業者が提携のある銀行でローンを組むように、住宅ローンを買い手にあっせんする仕組みのことです。
提携銀行とは、売り手が融資を受けている銀行のことです。
〔例〕
売り主が土地を仕入れて開発する。
↓
建物を建てて分譲するための資金が必要になる。
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提携銀行となっている銀行から借り入れを受ける。
提携ローンは、銀行にとって労せずに、新手の住宅ローン客を獲得るというメリットがあります。
単に売り主の会社に融資をするだけでなく、売り主が販売する土地・建物の購入者に住宅ローンをあっせんしてもらえるからです。
さらに、融資をうけた売り主からすれば、どんどん住宅ローンを斡旋しておけば、自社が融資を受けたいときに多少の融通が利くことが期待できるのです。
売り主は銀行から融資を受けて、分譲や建売の事業をします。
売り主は分譲や建売の顧客に住宅ローンを斡旋し、そうすれば銀行も喜びます。
企業の銀行から見た信頼度もアップします。
提携ローンは、売り主と銀行のどちらにとっても、非常に有利なシステムなのです。
しかし、ここで重要になってくるのが買い手側の「銀行探し」です。
なぜなら、提携銀行の融資金利や条件というものは、提携銀行だからといって特別に良いわけではありません。
どの銀行で住宅ローンを組んでもいいのですから、買い手は金利の安い、条件の良い銀行を探せばいいのです。
普段、給与振込の口座しかなく、使うのは公共料金の引き落としと、日々の生活費の出し入れくらいにしか使っていない人にとって、紹介された提携銀行を再度審査することは面倒でしょう。
自分で金利や条件面で有利な銀行を探し、ご自身が銀行に必要資料を提出して融資の審査や申し込みをすることも、もちろんできます。
どの銀行でも、住宅ローンの窓口はオープンになっていて、いつでも誰でも申し込むことができるのです。
融資条件さえ満たしていれば、庶民を相手にする住宅ローンは企業融資よりもずっと安全で確かな貸出先と言えます。
つまり、上記の「提携ローン」や「提携銀行」は、売り主とその銀行にとって都合のよいシステムではあるものの、買い手にとっては必ずしも最良の条件とは言えません。
自分でよい条件の銀行を探せれば、とくに提携ローンを使う必要はないのです。
ただ、提携銀行以外の銀行融資を受けることを拒む会社もあります。
売り主の経営状態がよくない場合など、銀行が売り主に条件を出しているのです。
融資をする条件として、販売する土地・建物のすべての住宅ローンを提携銀行にあっせんすることが求められているのです。
結局、この場合には、買い手は提携ローンにしなくてはならなくなります。
