天候デリバティブ(WeatherDerivative)とは、保険と金融が融合した金融派生商品の一種で、天候の変動に対してリスクを軽減しようとする商品です。
例えば、例年より暑さの厳しい夏であれば、ビールなどの消費量は多くなります。
しかし冷夏の場合、消費量は見込んだ量を下回ることになってしまいます。
天候デリバティブでは、「最高気温が25℃以下の日が20日以上あった場合には、一定額の補償が受けられる」という取り決めを、夏が来る前に決めておくのです。
反対に猛暑であった場合、保険金は掛け捨てになるという仕組みです。
農業、・エアコン・衣料品・ビール・屋外レジャー施設・博覧会・屋外イベント・電力・ガス事業・航空など、天候に左右されやすい業界が利用者となります。
個人の商店など、小口の加入の場合には補償額が小さいので、損の出た額を直接補償してもらうことを考えるよりも、例えば「雨の日ご来店サービス」など、ちょっとした心遣いやサービスの元手として使うという利用方法もあります。
風変わりな天候デリバティブには、「猛暑の場合、どら焼きの売り上げが減ってしまう」ということに備える契約の例があるそうです。
天候デリバティブは、1997年にアメリカで開発されました。
日本では1999年に三井海上火災保険などで取扱いが始まっています。
「気温が高いと需要が増えて収益アップを見込める産業」と「需要が減って収益が下がる産業」を組み合わせることで、互いにリスクを交換するという原理になります。
さらに、単に加入者同士のバランスということに留まらず、需要が増えそうな企業の株式に投資するなどの手法も併せて用いられます。
対象を世界規模にすることで、狭い地域内でのリスクも回避できます。
比較的、条件が成就する率が高いので、オプション料(保険料)と補償額の差はあまり大きくありません。
2006年現在、天候デリバティブの日本国内の市場規模(補償料額ベース)は、だいたい600億円となっています。
補償金額は数千万円規模の契約が多くを占めていて、中小企業を対象とした小口契約のものも増える傾向にあります。
最低加入金額(オプション料)が、30万円程度のものもあります。
損害保険会社や銀行が取扱うのが一般的になっていますが、電力会社とガス会社は直接契約を結ぶ例が多いようです。
